『トップガン マーヴェリック』観た

ジョセフ・コシンスキー監督、トム・クルーズ主演の映画『トップガン マーヴェリック』(2022)、映画館で観た。


『トップガン マーヴェリック』は『トップガン』(1986)の36年ぶりの続編映画。

前作『トップガン』といえば、リドリー・スコットの弟であるトニー・スコットが監督をして、トム・クルーズが海軍飛行士役を主演して一躍世界的に有名になった、大ヒット映画だった。わたしも子どものときに、TV放映された『トップガン』を親がビデオに録画しており、それを観た。今回の『マーヴェリック』のために Amazon Prime で観直したが、何もかもが懐かしかった──戦闘機の離陸シーンとともに流れるテーマ・ロックミュージック、臨場感があるコクピット内のパイロットの顔のクローズアップ、メロドラマ的な恋愛展開とシルエットだけの濡れ場シーン、スピーディーでエンタテインメントに徹した物語の起伏。『トップガン』の何がよいかといって、戦闘機乗りにフィーチャしてかっこよく映していること、それに尽きる。

『トップガン マーヴェリック』は、評判がよく、ヒットした。前作『トップガン』の根強いファンがいるとしてもなぜこんなに評判がいいんだろう、と不思議に思って、わたし自身は『トップガン』に特に思い入れはない中で、観に行ってみた。確かに、これは『トップガン』ファンが望む、ほぼ完璧な続編だった。──Web では一時期、漫画『孤独のグルメ』のセリフ「こういうのでいいんだよ」を、「凝っている必要はなく、大衆的でおいしいもの」などに使うことが流行った。「こういうのでいい。こういうのがいい」と言うような映画だった。

『トップガン』へのオマージュは、『トップガン』オタクが作った最高の二次創作かと見紛うレベルだった。誰もが覚えている『トップガン』のテーマ・ロックミュージックも当然かかるし、細々とした、にやりとするシーンも多い。一方で、『トップガン』を観ていなくても独立した楽しめるようになっていて、『トップガン』同様に「スピーディーでエンタテインメントに徹した物語の起伏」をやり遂げている。

明確に前作から切り離されているのは、前作ヒロインの存在である。キャストを見ても明らかなように、『トップガン』のヒロインである女性教官チャーリーはいない。その代わり、ジェニファー・コネリー演ずるバー店主のシングルマザー"ペニー"が配された。チャーリーとは暗黙のうちに別れたことになって、“ペニー"との関係も作中以前から仲がよかったことになっている。この部分は綺麗とは言い難いが、時間的・映画的な諸事情から仕方ないんだろう。トム・クルーズ自身、3回結婚して3回離婚しているしね(ハリウッド俳優としてはありがちとはいえ、どうかと思うが)。

『トップガン』のほとんど完璧な続編として、『トップガン』のファンでない自分も特に不満なく観終えた。悪くいえば、それ以上の何でもない。みんな、みんな「大きな物語」を延命しているだけなんだ。

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