周防正行の『Shall we ダンス?』から竹内友の『ボールルームへようこそ』へ

周防正行監督の1996年の邦画『Shall we ダンス?』を観た。

Shall we ダンス?

役所広司と草刈民代が主演した有名な社交ダンスが主題の映画。妻と娘がいてマイホームも建てた真面目な中年男性が、偶然電車から見かけた社交ダンス教室の窓辺に立つ美女に惹かれて、ダンスを始める……というあらすじからして面白そうな話ではあり、確かにその通りには面白い。

ただ、この映画は何よりもまず草刈民代の映画だった。1人だけ圧倒的に顔が小さく背が高くほっそりとスタイルがよく、髪型や服装も1996年という古さを感じさせない。1人だけ50年後の未来から来たみたいだ。草刈というあまりに眩い存在が説得力を持ってカメラに映っているから、確かに主人公の中年男が彼女と踊る華やかな一瞬間のために頑張る気持ちも納得できてしまう。草刈民代は反則だ、その立ち姿だけで映画として成功させている。

肝心のシナリオは、終盤のまとめ方に粗が過ぎる。同じ方向性でも、もっと物語的な論理展開がしっかりした話にできたはず。主人公の男のためにすべてお膳立てをしてあげている様が、素人のシナリオだと思う。

社交ダンスの作品というと、竹内友が連載中の漫画『ボールルームへようこそ』が好きなんだけど、話が終わるまでは多分語ることはない。

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