シェイクスピア『ハムレット』
『ハムレット』は、ウィリアム・シェイクスピアの代表作の戯曲の1つ。

ハムレット「せめて全能の神の厳しいおきてが自殺を禁じていなければ。ああ、神よ、神よ! この世のいとなみの一切が退屈で、陳腐で、凡庸で、無駄に思えてならない! ああ、厭だ厭だ、まるで雑草が伸び放題の荒れはてた庭。むかつく下劣なものだけがわがもの顔にのさばっている。なんということだ!」
ハムレット「生きてこうあるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう、やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら堪え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか。死ぬ、眠る──それだけのことだ。眠れば心の痛みにも、肉体が受け継ぐ無数の苦しみにもけりがつく。それこそ願ってもない結末だ。死ぬ、眠る。眠ればきっと夢を見る──そう、厄介なのはそこだ。人生のしがらみを振り捨てても死という眠りのなかでどんな夢を見るか分からない。だから二の足を踏まずにいられない──それを考えるから辛い人生を長引かせてしまう。でなければ、世間が鞭打つあざけりをいったい誰が耐えるだろう。権力者の迫害や尊大な者の傲慢無礼、報われない恋の苦しみ、裁判の遅れ、威張りちらす役人、優れた人間が堪え忍ぶくずどもの蔑み。短剣でひと突き、我と我が手ですべてが精算できるというのに。苦労ばかりの人生の重荷を歯をくいしばり汗水たらして誰が耐えるというのだ。ただ死後にくるものが怖いからだ。旅立った者は二度と戻ってこない未知の国。その恐怖に決意はくじけ、見ず知らずのあの世の苦難に飛び込むよりも馴染んだこの世の辛さに甘んじようと思わせる」
有名な “To be, or not to be” を含む、その後の世界が近代に進むことを予言するような長台詞。ただ、そのハムレットの悩みの原因というのが、叔父と母による不貞と殺人というのが古代ギリシャ悲劇的だけど。
ハムレット「見るもの聞くものすべてが俺を告発し鈍った復讐心に拍車をかける。持ち時間の主な使いみちが食って寝るだけだとしたら人間とは一体なんだ? けだものに過ぎない。創り主は我々にこんなにも大きな思考力を授けられ過去と未来に目を向けるようにされた。その能力と髪のごとき理性を持ち腐れにしていいはずがない」
ハムレット「もしもハムレットが正気を奪われ己をなくした時にレアティーズに害を加えたとすればそれはハムレットの仕業ではない。ハムレットがそれを否定する。では誰の仕業か? ハムレットの狂気だ。とすればハムレットも被害者の一人。彼の狂気は哀れなハムレットの敵だ」