『パラノーマル・アクティビティ』、観た
オーレン・ペリ監督の映画『パラノーマル・アクティビティ』、観た。
最近なんとなくホラーに関心があって、ラヴクラフトを読んでいたり『ミッドサマー』を観たりしていたが、ふと『パラノーマル・アクティビティ』という低予算映画があることを知って、Amazon プライムで夜に一気観した。
製作費1万5千ドル、監督の自宅のみで撮影、7日間で完成、編集作業は監督所有の PC で行われたという自主製作映画。フェイクドキュメンタリー形式で、同棲カップルが家で起こるラップ音やポルターガイスト現象の正体をカメラに撮って探ろうとする話。
はっきり言ってただのホラーなんだけど、低予算でも怖いものは作れるんだという証明としてよくできている。ただシナリオは弱くて、なんか知らないが悪魔が憑いたというだけなので、釈然としないまま終わる。結末は典型的な驚かし怖がらせで、個人的には低俗にしか思えず気に食わなかった。結末以外もいろいろと弱い部分は多いが、それでも全体として怖い。Amazon レビューを見ると、怖くない、だらだら同じ場面を見せられる、といった意見があったが、そうは思わなかった。この映画の欠点はむしろ、怖すぎたことと、もっとだらだらすべきだったことだ。
『パラノーマル・アクティビティ』では、夜の寝室でカップルが寝ているだけの固定カメラの映像が何回も繰り返される。この映像のよさは、右側には寝室のベッドが映っていて、左側は寝室のほとんど何もないただの空間で、特に寝室の白いドアがいつも同じように開け放たれていること。何もない空間は、実は何かが充たされているかもしれない。それは自分が毎日過ごしている寝室の空間であっても、想像してみると分からない。そういう空間への想像力を最大限利用している。
調べてみると、あの劇場版の結末はスピルバーグ監督の提案らしい。オリジナルの結末を聞くと、確かにそちらの方がオリジナルっぽい発想だし、同時にスピルバーグ提案の結末の方が映画としてずっとよさそうというのも分かる。ただ、この映画にとってあの結末は微妙だったと思う。この映画の作家性があの結末で失われた。
面白かったかといえば、まあただの怖がらせるだけのホラー。