『花の詩女 ゴティックメード』、観た

永野護監督の映画『花の詩女 ゴティックメード』(2012)が、10周年リバイバル上映されたので映画館で観てきた。DVD化や配信されていないため、今を逃せば観る機会はほとんどない。

わたしは永野護の漫画『ファイブスター物語』のファンだが、『花の詩女 ゴティックメード』は完全に永野ファン向けの映画で、普通に人には勧められないし、面白くない。ファンなら面白いかといえば人次第だろうが、わたしはあまり面白くなかった。

宮崎駿アニメのようなボーイミーツガールの物語だが、シナリオも映像もほとんど素人のつまらないものだ。永野護は昔サンライズで富野アニメのデザイナーとして参加していたものの、メインは『ファイブスター物語』を描く漫画家なので、監督・脚本・絵コンテなどをすべて担当した映画を作ってまともなものになるわけがない。ただ、ゴティックメードといわれるロボットの戦闘シーンは、短いものの、ファンの心を躍らせるものだった。ゴティックメードの戦闘シーンと、『ファイブスター物語』への伏線となるいくつかの意味深長なシーンのためだけに、この映画を観たようなものだった。

永野護がアニメーターでないことを考えれば、この作品の出来は必然だった。しかし、それはファンとしては納得するとしても、どうかと思うのはスタッフロールやエンディングの登場人物紹介の見せ方が単純に"ダサかった"こと。漫画家であると同時にデザイナーであり、デザイナーとしての己の才能とわがままを表現し切るために自分一人で漫画を描いているような永野護が、あの見せ方を許すのかと首を傾げる。

Created at
Tags 映画