Steam 版『クロノ・トリガー』やった
スーパーファミコンの名作とされるゲームはある程度やったつもりだったけれど、『クロノ・トリガー』(スクウェア, 1995)はやっていなかった。なので、Steam 版を買って遊んだ。
まず Steam 版は駄目だった。元々 Steam 版はリリース当初非常に評判が悪かったが、アップデートによって指摘されていた問題点も大部分解消された結果、今のバージョンなら Steam 版でもよいだろうという雰囲気になっていた。が、それでも1つ駄目な部分があった。スーパーファミコン時代の高品質なドット絵の中で、フォントだけは解像度の異なる平凡な PC フォントがレンダリングされていて、雰囲気を壊している。
ほかにも、どうやらバトルスピードが調整不足で高速設定にすると敵の攻撃頻度が上がりすぎるという問題があるらしい。確かにこれはおかしいと思ったが、オリジナル版のバトルスピードを知らないので、オリジナル版からの問題点なのかと思っていた。また、稀にゲームプログラムが落ちることがあった。自動セーブ機能があるから助かったものの、これも Steam 版特有の問題点らしい。
そうしたことをさておくと、確かに『クロノ・トリガー』は良作の RPG だった。SFC としては最高峰の映像と音楽とシステムと演出で、ストーリーもよい。ただ、喋らない無個性主人公というのは、ドラクエでは意図として成功していたけれど、『クロノ・トリガー』では単に意図もなく失敗している。『クロノ・トリガー』のシナリオや主人公以外のキャラクターの雰囲気は、ドラクエみたいにプレイヤーの想像力に任せるスタイルでない。むしろ FF みたいに映画・小説・漫画的なスタイルであるため、主人公だけをドラクエ化させたのは合っていなかった。そのせいで、どうも画竜点睛を欠くゲームになった。
たとえば同じ SFC の『ファイナルファンタジーVI』(1994)とどちらが好きかというと、FF6 になる。『ドラゴンクエストV』(1992)や『ファイナルファンタジーVI』の後発作品である以上、それらを超えるオリジナリティやパワーがなければ高い評価はできない。
あと『クロノ・トリガー』をやっていて今更感じたのは、SFC での表現力にはやはりハードウェアスペック的な限界があったんだろうなぁということ。『クロノ・トリガー』や『スターオーシャン』のドット絵キャラは画質が粗いなりに素晴らしいものだが、結局 3D を採用しなければカメラのクローズアップができないため、映画的表現ができなかった。『ファイナルファンタジーVII』がそれに対する解答でもあるのだろうが、ゲームアーカイブスで買って PS Vita の小さい画面でプレイしたせいか、いまだに FF7 の価値をよく分かっていない。