『ザ・シューター/極大射程』観た
アントワーン・フークア監督の映画『ザ・シューター/極大射程』(2007)を Amazon プライムビデオで観た。

原作『極大射程』は昔読んでいて、まあ普通によくできた「銃」ものの冒険小説だった。非常にナイーブなアメリカの男らしい小説なので、合う合わないはあって、自分は合わなかった方に入るが。

映画版は、この冒険小説の映画化として決して悪くない。『極大射程』をふつうの冒険小説として読めば、この映画に変な改変や原作の持ち味の消失はなかった。世にはもっとひどい映画化がいくらでもあると思う。
しかし、実際には『極大射程』は何よりも銃の魅力が一番フィーチャーされているのに、映画では銃の「推し」が別段感じられない。また、原作の長さの都合上、いくつか省略している箇所があるが、それによって原作のパワーとリアリティが薄れている。この2点は大きな欠点。特に原作の終盤で弁護士が主人公ボブの無罪を証明するシーンは一番読者の胸がすく箇所なのだが、そこが簡潔に切り詰められている。それと、『極大射程』において主人公ボブの新人相棒みたいな立場になるFBI捜査官ニック・メンフィスは、原作だと格好いい若者のイメージで、かつ、ニックは同僚の若い美女を説得して秘匿情報を引き出しているのだが、その設定が相当におざなりになっている。これは原作の長さから行った省略改変なんだろうけど、原作ファンからしたらこれは許せないだろう。
わたしが原作『極大射程』で一番印象的なシーンは、実を言えば、ボブが逃避行中に豚を狩って内蔵だったか何かを食うところだった。あのシーンだけは最高に好きで、正直そのシーンが映像化されているんじゃないかという期待もあってこの映画を観たのだが、当然のようにそんなどうでもいいシーンは映画ではカットされていた。